お待たせしました。
そんなこんなで、ロシア・ハバロフスク空港での一時待機が決まりました。
すでに飛行機に乗ってから15時間。空腹に苛立ち朝食を催促する人も出てきて、
急きょ機内での朝食サービスが始まり、皆ホッとしていました。
「空港の許可が得られたので、外へ行きたい人はロビーへどうぞ。ただし、
出発直前まで機内へは戻れません。希望者のみ入り口付近へ来てください。」
もちろん、私たちの答えはYES!
極寒のハバロフスク空港は氷点下14-20℃。ドアが開くと同時に肌を刺すような
寒気でしたが、この時ばかりは解放感に満ち気持ち良く感じられました。
タラップを降り、写真を撮ろうとカメラを向けて振り返ると、下で見張っていた
ロシアの女性職員が睨みつけながら、低い声で「ノー!ノー!」
50mほど地上を小走りに歩き、建物内へ入りました。臨時で開放してくれたような
こじんまりとしたロビーには、棚がスカスカの小さな免税店と、ニコリともしない
いかにもロシア人の店員さんがいるペットボトルとサンドイッチだけのお店。
そして、なぜかとても親切なキッズコーナー(わかってたのかと思うほど)が!
ちょうど、お父さん一人(奥様は先に帰国。男同士の旅を楽しんでこられたそう)
で5歳と3歳の息子さん達を連れていたファミリーと一緒になり、子供たちは一気に
意気投合!!子供たちにとってはパラダイスのような空間になりました。
この境遇で、日本人(ハーフでしたが)の男の子たちがいたこと、キッズコーナーが
あったことは、天の救いだと思えたほど、ありがたく感じていました。
4時間後にロシアのサンドウィッチ一切れと350mlのミネラルウォーターが
支給されました。パサパサのパンだったけど、とっても有難かった。
だんだん、日が暮れてきましたが、音沙汰なし。その間もロシア人の空港職員
は、寒さなんてなんのその!という表情で、ずーっと外でウロウロと到着を待って
いたのには感心しました。頭だけは毛皮だけど、体は薄着でビックリ!
ロシアの可愛い消防車が続々集まってきて、みんなで不安になりました。
「荷物燃えたらショックだなぁ」と隣でつぶやく男性もいて。
いよいよ、動きがありそうで窓際に人だかり。
今日中に日本に帰れるのか、このままハバロフスクで一夜を明かさないと
いかないのか…あと二時間くらいで日本だったのに。。。
不安な気持ちを胸にみんなで祈り見守りました。
意外とあっけなく、何したのかもわからないまま、
「機内にお戻りください」のアナウンス!
全員慌てて用意して、小走りに戻ってゆきました。
3人の子供たちも、それはそれは嬉しそうに全力ダッシュ!
機長から「嬉しいニュースです。エンジンも直り、システムもリセットできたので
準備ができたら飛び立ちます!」
喜んだのも束の間。「厳しい寒さのため、エンジンをしばらく温め、再び解氷作業の
ために1,2時間お待ちください。どうにか成田が閉まらないうちに到着できるように
祈ります。」???
席についてから、さらに二時間後、あたりはもう真っ暗。
ハバロフスクの足止め9時間。ようやく動き始めたのでした。
大変だったけど、トラブルこそ貴重な体験!と、どこか楽しんでしまう不謹慎な私。
一生、来ることはないだろうと思っていたハバロフスクに、降りたてたこともまた
思い出深い今回のスイス旅でした。