好きな動物は?
そう聞かれたら、迷わず「馬!」と答えます。
何度かブログにも書きましたが、私は東京都立農芸高校の園芸科(小さい頃から「この学校
に入らないなら高校へは行かない!」と言っていた)に入り、馬に魅せられて馬術部に入部
しました。それまで喘息持ちで病弱だった私は、農業と馬術を始めたことで体力をつけ、
趣味の力に後押しされ、今までになく充実した学生生活を送ることができたのは事実です。
けれども、高貴、お金持ち、優雅…と連想されやすい馬術の世界は本当に厳しかった!
落馬したり馬に蹴られて命を落とすこともある馬の世界。
上級生の言うことはすんなり従うけれど、新入生の言うことは全然聞かない頭のイイ動物。
馬場で三年生が乗れば馬場馬術になるのに、一年生だと勝手に暴走して振り落としたり、
放牧場で三年生が呼べばすぐに捕まるのに、一年生だと、立ち上がって脅かしてみたり。
乗馬や馬の手入れはもちろん、飼料、ワラ、青草…どれも力仕事で授業の半分が農業実習
なので、農業と馬に明け暮れるヘトヘトの日々は今になれば楽しかった思い出です。
私たちがいた頃はおじいちゃん馬一頭に対して、部員12名。
体力がないからと乗れるのは一日3,4人。あとの人は果樹園に餌用の草刈りをしたり馬場
の整備をしたりします。それから夏も毎朝5:30〜涼しいうちに朝練をして、馬を洗って餌
をやり、自分たちも朝ごはんを食べてから登校。これに炎天下の農作業やプールがあれば
もう…。家から高校までは自転車で5分。学校で夜ボヤ騒ぎがあればまず厩舎に飛んで行
き、毎年元旦も馬当番でした。
毎回命がけのジャンケンで決めるのは、毎週末埼玉にあるOGの乗馬クラブに行く回数。
普段の練習では三年生が下級生に教えるだけなので、OGに教わるという名目で、丸一
日、ものすごい緊張感の中、乗馬クラブの仕事や雑用を必死でこなし、運がよければ
会員さんの馬に数十分下乗りしながら指導してもらえる。といった具合。
夏休みなどの長期休みには、毎日数人ずつ当番と合同合宿があり、馬場の開拓や修繕、
草刈り、畑からトラックでにんじん収穫、田んぼワラ束作りと運搬など盛りだくさん。
他の仕事ができなかったり、ミスをすれば乗せてもらえないし、乗ったとしてもOGを怒
らせれば、即選手交代。その厳しいOGには、怒鳴られることはしょっちゅう、短鞭で
たたかれることさえありましたが、その小柄な真っ黒に日焼けしたオバちゃまOGに褒め
られた時、の喜びといったら!
辞めたいと思ったことは多々あるけれど、同学年にも一学年下にも女子は一人だけだった
けれど、最後まで続けて良かった。
馬から学んだこと、本当にたくさんあります。 馬に乗れたことでスイスの家族と一気に
距離が縮まったことも、辛かった部活のご褒美だったのでしょうか。
スイスの雪原をギャロップした、あの爽快感。もう一度味わいたいな、と思う今日この頃
いつも私たちが車で通ると、近寄ってくる愛くるしい子に会ってきました。