先日、隣町で4日間ほど玉ねぎ市が開かれました。スイス中あちこちで秋に開かれるこの市は、日本のアサガオ市やほおずき市のような風物詩。あいにく、見に行くことはできませんでした(研修生の頃一度行ったことがある)が、新聞に載っていたので、ちょっとわかりにくいですが雰囲気は伝わるかなぁ。市では主に、玉ねぎをキレイに編み込んで作ってある飾りや、名物の熱々の濃厚なチーズがとろける小さな丸い玉ねぎのパイの他、移動遊園地や日本のテキヤさん同様に様々なお店が並び賑わいます。
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チーズ王国スイス
チーズ王国スイスでは、年間に一人当たり 10キロ以上のチーズを食べるとか。シュヴァルツ家でも、週に5日は何かしらのチーズを食べているような気がします。連日紹介しているエメンタールチーズは、他国でも同じ製法でエメンタールチーズとして販売されたことにより、2004年にAOC(
原産地呼称統制)に認定されたそうです。AOCとは、スイスの酪農製品や農産物などの食品を保護する制度であり、名称はことなりますが、近隣諸国にも同じ制度があります。因みにシュヴァルツ家のワインもしっかりAOCに守られています。それぞれに厳しい基準があり、エメンタールチーズの場合は(1)原料はエンメ地方の干し草をエサとした牛のミルクであること(2)搾ってから24時間以内の新鮮ミルクであること(3)添加物を使用してないこと(4)指定された発酵菌を使用していること(5)最低4ヶ月以上の発酵期間をおくこと…というわけで、この小さな谷のグレードの高いエメンタールチーズは、国に守られ、スイス国民に愛され、更には国内消費量の何倍もの量を世界中へと輸出しているのです。
エンメ谷
紹介しきれないエメンタールの続きです。エメンタールという名前はEmmeエンメ川が流れる谷という意味だそう。どこを見回しても、ため息がでるほど美しく、後部座席で右に左にとニワトリのように首を振りシャッターを切っていたら、車酔いしてしまいましたが、それくらい、この景色のためなら許せちゃいます!今年は一際美しい秋。普通なら、雨が降ることも多く寒いのに、今年は11月だというのに暖かく晴れの日が続いています。シェフたちも「こんなに美しい秋は今までで初めてだ!君のためにかな?」と言ってました。一度ぐっと氷点下に下がれば、紅葉した葉っぱも散ってしまうそうなのですが、今年は先月数日霜が降りたくらいなので、見事な紅葉を長く楽しめています。しかし、一方ではジェノバやフランスをはじめ、各地で今年は洪水の被害があり、心が痛みます。
さすが、スイスの工場見学はどことなくオシャレ!ヘッドフォンからは三カ国語から選べるガイドを聞きながら、上からチーズ製造を眺められます。クライネマンも…
Emmental 〜チーズの村、秋のエメンタールへ〜
こちらへ来て二ヶ月が経ちました。長いような、毎日が忙しくすぎてゆくのであっという間の様な…。その間、普段の買い物やこの辺の散歩を除いて出かけたのはたったの二度でしたが、農家の仕事もピークを通り越したということもあり、先日の日曜日にシェフとシェフィンがエメンタールのチーズ工場へと連れて行ってくれました。(今回この二人と出かけたのは始めて)エメンタールは世界的にも有名な、あのエメンタールチーズの故郷。丘が連なり、牛たちが悠々と放牧されている景観にはただただ感激するばかり。ポストカードやカレンダーにもよく登場するいかにもスイスらしい場所です。実は私はスイスに来るまで、牛乳をはじめ乳製品が苦手で、チーズはピザなど溶けていれば美味しく食べられる、という程度で、チーズそのものを食べることなどありませんでした。ところが!スイスに来て、乳製品のおいしさに驚きました。ヨーグルトもバターも、そしてチーズも牛乳臭くなく、本当に美味しい!チーズもハード系のチーズのほうが私の好みで、中でもエメンタールチーズ(チーズといえば思い浮かぶ、あの穴あきのチーズ。マイルドで甘みがある)が一番のお気に入りになったのでした。シェフもエメンタールチーズが一番好きだそう。今回はそのチーズ工場兼レストラン&ショップに連れて行ってもらい、ブランチをご馳走になりました。
オレンジジュース、どれも美味しいパンの盛り合わせ、自家製チーズの盛り合わせ、ハム、ベーコンの盛り合わせ、ルースティ(粗くおろしたジャガイモをパンケーキのように焼いたスイス名物料理)&目玉焼き、ヨーグルト、フルーツカクテルのブランチをたらふくいただきました
Knopfliクノップリ
直訳すると「小さなボタン」という名前の、粉料理を作りました。スイスでは主食としてよく食べるのですが、シュヴァルツ家のとっておきのレシピで作ったクノップリは格別に美味しくて、私も含めみんなの大好物です。粉と卵と塩と牛乳と水をミキサーで混ぜ、1時間以上寝かせてから、専用の穴のあいた器具の上に生地をおき、ゴムベラで大鍋に落としていくと、1,2分でボタンのように、つぶつぶが浮き上がってきます。それをザルにあげ、水でさっと流す作業を繰り返し、何食分かまとめて作って、大半は冷凍(茹でる作業だけでも少しずつやるので、今回は1時間以上かかって)すぐに食べる分は、茹でただけでも十分美味しいと思うけれど、これをさらにフライパンでこんがり焼いてから食べます。こういった粉料理は、和、洋、中どれをとっても共通していますが、それぞれに特性があるから面白い。ちなみにこのゆで汁は捨ててはいけなくて、ここに数種類の野菜とブイヨンをいれた野菜スープがまた美味なんです。今回はカッテージチーズを加えるシェフィンお気に入りのクノップリと二種類を作りました。
ある夏の日の昼食。クノップリと、ハーブマリネ豚のオーブン焼きキノコソース、トウモロコシとモロッコインゲンのサラダ
Knollensellerie根セロリとKarottenニンジン
根セロリやニンジンが次々にバロックに収穫され、シュヴァルツ家に運ばれてきます。畑の作業は見ることはできませんが、トラクターやフォークリフトが行ったり来たり。そんな光景を見ては息子は手を降り、大はしゃぎ。前にも紹介した通り、この様に泥付きのままバロックに入れ、巨大冷蔵庫に5段重ね、春まで注文に合わせて出荷調整をします。ニンジンは、日本のニンジンは作り物のように太くてキレイですが、こちらでは細いのやら曲がっているのやら色々。そんなところからみても、日本の農作物は世界一と言えるほど、野菜も果物も立派で美しい。けれど、その影には計り知れない努力と規格外商品があるのでは、とついつい考えてしまいます。
根セロリは、日本のセロリよりも強烈な香りですが、スープや煮込みに入れると風味と甘みが絶妙です。日本のセロリも時々見かけるけど、こちらで言うセロリとは、この根セロリのこと。通年欠かせない野菜です。シュヴァルツ家では根セロリだけのサラダは作るけど、ポタージュは作らない様なので、根セロリのポタージュを作ったら「お店の味がする。これはなんて言うスープだ?」とシェフが感激してました。以前東京のスーパーで見かけたことがあるけれど、一つ600円位してびっくりしました。ぜひとも自分で作ってみたいと、スイスから種を買って帰り挑戦してみたけれど、発芽はしてもその後の生育が遅く、結局収穫には至りませんでした。シェフに聞いたら、根セロリは最も時間を要する野菜(約7ヶ月)だそうで、種から育てるのは温室やらハウスも必要で手間がかかるから、苗を購入し、植えているとのこと。いつか山屋でも収穫できる日が来ることを願って、再チャレンジしてみようかなぁ。
ベガとティッピ
先日一歳になったティッピは、相変わらず家の中で粗相をしてしまったり、お菓子作りのためのバターを食べてしまったり、息子のマフラーや帽子でじゃれていたりと目が離せませんが、体はずいぶんしっかりして、ベガと大きさがほぼ同じになってきました。ましてや同じ母親の子供だから、パッと見ると見分けがつかないことも。ミルタはベガのことは撫でて、ティッピのことは怖がって近づかないのですが、息子は逆。ベガにはかなわないけど、ティッピなら手なずけられると思ってるのか、ティッピが吠えると「ズィッツ!ズィッツ!(sitz:お座り)」と一緒になって言います。これは私がシュピに言っていたから、前から言ってはいたのですが、こっちの家族も大笑い。それにわざとミニカーをティッピめがけて走らせたり、お互いにちょっかい出し合ってます。
二匹のじゃれ合いも前より仲良く長続きするようになり、この大きさの犬たちが夜家の中で飛び回ってじゃれ合っているとけっこう迫力があります。私がこの家に来るたびに待ってましたとばかるに犬のシャンプーを手伝わされていました。今回も来て二日後にさっそく。その後忙しすぎて時間がなかったち、天気が悪く寒かったり…やっと先日小さな助手が手伝って洗うことができました。
写真左がティッピ。右がベガ。
羊の大移動
お墓参り?
スイスでは11月頭までに、お墓をキレイにする習慣があるようで、手伝いを頼まれ、先日秋晴れの日にシェフィンのおばあちゃんのお墓へ行ってきました。それぞれに亡くなった方への思いをお墓に込めて、思い思いにキレイに飾ってあるお墓は、日本ほど暗い怖いイメージはありません。むしろ、ひとつひとつ見物してしまうほど。針葉樹や雰囲気のある樹木に囲まれ、芝生が広がり、何気ない水汲み場まで、どこか絵にになります。夏に植えてあった植物や雑草を抜き、ラベンダーとバラを切り戻し、新しく二色のエリカを植え、家から切って行ったもみの木とヒバでマルチングをしてきました。もう少ししたら、クリスマスらしい飾りをその上に置く予定だそうですが、すでにクリスマスムードのお墓もたくさんありました。スイスで有名な作家さんのお墓もあるらしく、写真を撮りに来ていた男性にシャッターを押して欲しいと頼まれました。
Kleineman クライネマン
まだわからないからでしょうが、なんでも物怖じせず、目敏く興味津々で、すぐ真似っこし、小さいくせに、どこか一丁前…そんな息子はクライネマン(直訳すると‘小さな男’)と呼ばれています。
日曜日や夕食後には決まってシェフと並んでテレビタイム。エスプレッソにお砂糖とミルクを入れ、ティースプーンでグルグルかき混ぜるシェフのマネして、カップにわざわざスプーンをいれて飲んだり、手を当てて咳き込むマネしたり…迷惑もかけているけれど、緩和剤のような存在でもあるクライネマン。今まで熱も出したことなく、健康優良児でしたが、ついに周囲の風邪流行に負けて、ここ数日鼻水と咳で苦しそう。それでも機嫌がよく食欲もあり、元気は元気。泣いたり機嫌が悪くならないだけ救われてます。医療関係は優れているスイスですが、意外なことに家庭療法に重点をおいていて、風邪くらいじゃ病院にかからないようです。息子のためにも、ラーヘル手づくりの‘タイムバター’(溶かしたバターと乾燥タイムを入れ少しおき、ザルでこして容器に入れ冷蔵庫で固めるだけ。胸と背中に塗って呼吸を楽にさせる効果があります。)と、喉や咳に効くセージとタイムのお茶にハチミツを入れて飲ませるようにと、可愛いパッケージハーブティーをくれました。日本では近年ハーブも身近な存在になってきましたが、ガーデンや料理で楽しむのが大半。日本の薬草同様、ヨーロッパの古くから伝わるハーブの利用法やハーブを使ったレシピを、この家でずいぶんと教わりました。私も、もっと山屋ハーブガーデンを有効利用できるように、ハーブともっともっと身近に暮らせたらいいなぁ、と思います。
先日の選挙日には深夜0時に結果が出るそうで、延々この番組をやってました。
さすが、スイス!この派手なスイスカラーの選挙番組を息子も真剣に観てました。